個人的に良ゲーと思っているけど、どうも世に埋もれてる感があるタイトルを紹介する、「良ゲー紹介」です。
最初のご紹介は、Xbox 360向けRPG「ロストオデッセイ
」です。
ロストオデッセイは、Xbox360本体が発売される2005年12月10日から遡ること約7ヶ月、2005年5月に制作発表されました。ファイナルファンタジーの坂口博信さんと植松伸夫さんのゴールデンコンビのもと、キャラクターデザインはスラムダンクやバカボンドの井上雄彦さん、シナリオ協力に直木賞作家の重松清さんという錚々たる面々が参画するビッグプロジェクトとして大々的に打ち上げられました。内部的には2004年から開発開始していたとのことで、開発環境もろくに整っていない中での苦労の連続の上での発表だったようです。
以降、詳細なレビューは「つづき」以下をご参照下さい。
さて、そうして発表されてから1年半後の2006年11月、待望の体験版が配布されました。以下、微妙なネタバレかも知れませんが、概要を少し。
オープニングの映像は、恐らく意図があったのでしょうが全体的に薄暗く、標準設定だった自宅のアクオスでは何が映っているか分かりにくい状態でした。しかし、そのムービーからシームレスにリアルタイム映像に切り替わる瞬間は「おおっ!」と感じました。戦闘画面は「たたかう」「魔法」「防御」「道具」のみ。オープニングでは敵の攻撃をマトリクス的映像でかわしまくっていた主人公カイムが、ザコ敵と思われる戦闘兵に後ろから忍び寄られてザクザク切られる点には理不尽さを感じるものの、コマンド式RPGは好きなのでバチこいでした。また、サウンドは大変重厚で植松節がさく裂しており、個人的には期待度が高まりました。ただ、体験版としては華に欠けている気もしましたが^^;。
また、TV番組でこんなのも流れてワクワク!
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極めつけは、ソフト発売の2週間ほど前に重松清さん著の永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢が発売に!すかさず購入して数日で読破。重松さんらしい、人の内面を上手く表現した内容に、思わず涙しつつ本編への期待は最高潮に高まってきました!
そして、2007年12月6日にいよいよロスト オデッセイ(Xbox360)が発売に!
しかし、wktkで開始したものの、どこかに違和感を感じました。そして、3日ほど進めたところで一旦挫折ToT。どうも、期待が膨らみ過ぎていた様です。カイムの声を担当する豊川悦司さんの声も、序盤はその良さが分からずに微妙だったり。また、先行してプレイしていたトラスティベルなどの単体タイトルとしての完成度と比較して、細かいところに不満というかもっさりさを感じたことも原因のようです。
しかししかし!
それは大きな間違いでした!ふとしたタイミングで「もう一回最初っからやってみるか」と思い直してプレイしたところ、みるみるうちにシナリオに飲み込まれてしまいました!ゲームシステムも慣れてしまえば気にならなくなり、むしろ戦闘終了後にステータス画面を開いてスキルをいじるのが当たり前というか、それ自体が楽しみになってくる程w。また、エンディング直前まで進めたところからの大変広範囲で複雑な遊び要素は素晴らしい!まさに、この世界を十二分に楽しむことが出来ます。お陰でレベル99まで育ててしまったため、ラスボスは大変あっけなかった点はむしろ残念ですが、その後2周目でギリギリプレイをして楽しみ直しました。
現在は3周目を楽しんでいるところです。これが、面白かった本を何度か読み返すのに似ていて、「おお!ここってこういう意味だったんだ」的なプチ発見も多く、充分楽しさを感じられます。
さて、本作について、冷静に良い点と悪い点を挙げてみましょう。
<良い点>
- 壮大で魅力的な世界観。一度引き込まれると、他の並大抵なものでは満足できなくなるほど。
- 初期UE3(Unreal Engine 3)とはいえ、まずまず美しく描かれた世界。
- 洗練されたエリアマップとワールドマップ。冒険と移動を上手に切り分けている。
- シンプルながら進化している戦闘システム。エイムリングも慣れれば問題なし。後述するスキルシステムやリング合成を合わせると、楽しもうと努力した分更に楽しくなる。
- レールによる半強制なものの、全編通じてほぼ良く考えて作られたカメラシステム。多少は視点が動かせるのも良い。
- 奥が深いリング合成。無くても勝てるので全体としてのバランスはアレだが、これ単体だけ考えると、素材を得るための敵の配置バランスなども含めてかなり良い。
- スキルシステム。どのスキルをスキルスロットに配置するか、またスキルリンク(通常の人間の能力を不死者が習得するためのシステム)するためにパーティの組み立てをどうするかなど、プレイ全体を通じて常に意識できる。そして、頻繁に成長する要素が増えるため、ザコ戦すら楽しくなる。
- ヤンセンやセド、カカナスなど、人間性がにじみ出る個性的なキャラクター群。
- バックヤードやわらしべピポットなど、ストーリーとは直接関係ないところに大変面白いシステムが盛りだくさんな点。
- シナリオ進行上二度と行けない場所にある宝箱の中身がオークション形式で入手出来る点。これは素晴らしい。
- 植松伸夫さん渾身の楽曲。個人的には、これまでの作品の中で最も良いと評価。
- 重松清さんの千年の夢が、概ねゲームとは時間軸が異なるとはいえ、世界観をより重厚なものにしている。また、システムもパワーポイント風(というか、ほぼそのまま)ではあるものの、ノベルウェアとしても良く出来ている。
- 概ね良好な声優陣。特にヤンセン役の豊原功補さんの好マッチぶりは秀逸。豊川悦司さんのしゃべり方も、何故ああいう感情を殺した形になっていたのかが分かった後は理解できる。最初は中断する原因にもなったけど。
<悪い点>
- 開発期間が長かったことも影響して、ムービー部分のクオリティ差が激しい。オープニングなど、カイムの顔が全然違う!全編リアルタイムムービーでも良かったのでは?
- 初期UE3の未完成さに引っ張られたとは言え、激しいロード。ロード自体は待てない程ではないにしても、小さい演出を挟んでの連続ロードは萎える。
- 一部セーブポイントが意地悪。1時間やったものがパーになるのはいかがなものか。
- 中盤~終盤手前あたりまでのマンネリ感。練り込み不足感も。
- 慣れればどうということはないですが、千年の夢と本編をもう少し関連付けて欲しかった。
- 声優のミスマッチ。序盤のトヨエツはかなり違和感。上原多香子は、最後まで微妙だった。
悪い点はもちろんあり、それは制作サイドであるフィールプラスの中里氏も講演で語ったほどですが、それを圧しても余りある素晴らしい作品です!どっぷりとRPGの世界に浸りたい方には、是非ともお勧めします!
<個人的採点> シナリオ・世界観 : 9/10 ゲームシステム : 8/10 グラフィック : 8/10 サウンド : 10/10 奥深さ・熱中度 : 9/10 合計 : 44/50
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ゲームパッケージ |
サントラ |
千年の夢 |