何か凶悪な事件が起こるごとに何かと原因にされるゲームですが、現在も被害が拡大している英国暴動はGTAの影響だとする報道が、ロンドン大手タブロイド紙「LONDON EVENING STANDARD」により1面で報じられたとのことです。
いつも思いますが、本当にゲームは悪者なのでしょうか。詳細は続きからどうぞ!
(つづき)
Kotaku Japanが伝えるところによると、今回の報道は警察官1名と市民1名、計2名のコメントが根拠となっているそうです。ん?つまり、2名が話したことが1面に掲載された、ということですよね。もしこれが「ロンドンっ子1万人に聞いたら、大半がGTAのせいだと答えた」というなら話は別ですが、たった2名の発言が根拠となれば、これは記者あるいは新聞社の恣意的な報道の可能性が否定出来ません。
また、Gigazineが伝えるところによると、記事中の解説では、暴動の原因を以下のように説明しているそうです。
あれ?GTAは確かに暴力行為が多々あるゲームではあるものの、レーティング的に適合しない10~14歳の多くの子供たちに何故そんな悪影響を与えるのでしょうか。英国ではレーティングって全く無視されているのでしょうか?ちなみに日本では神奈川県がGTA3を有害図書指定したことを発端にCEROにZ区分が追加され、全国区では法的罰則はありませんが、一部地方自治体では条例で罰則規定を設けているところもあります。
さて、確かに現代のゲームは、社会的な一面を切り出した上で、更に「娯楽性」「恐怖」「射幸」などを強調したタイトルも少なくありません。しかし、これはゲームだけに限らず、小説・コミック・映画・ドラマなども同様なはずです。特にドラマや映画などの方が、ゲームよりも広く一般大衆に大きな影響を与える可能性があります。
では、何故こうした報道が必ず巻き起こるのでしょうか。それは恐らく、ドラマ・映画などの映像娯楽産業と、ニュースを報じる出版・テレビ業界が非常に近しい距離にあることが強く影響していると思われます。それは、彼らがゲーム以外に「インターネット」という、彼らの収益構造に大きく影響を及ぼす新興メディアも頻繁に悪者に仕立て上げてようとしていることからも見てとれます。
行き過ぎたゲーム表現は確かに問題ですが、それはゲームのみならず他のメディアも同様に論じられるべきものであり、ただやみくもに「ゲームが原因」というのは、あのアホらしい「ゲーム脳」の一件を思い出させる低俗な主張になり下がってしまうだけだと思います。
先のLONDON EVENING STANDARD紙もさすがに途中から「GTA」名指しを「VIDEO GAME」に改めたようですが、こうした主張によりゲーム文化の発展が阻害されないことを祈るばかりです。
[Kotaku Japan] ロンドン暴動は『グランド・セフト・オート』の影響と報道される
[Gigazine] 「若者が暴動を起こすのはグランド・セフト・オートのせい」報道に反発起きる
以前だったらフーリガンとかヘヴィメタとかいろいろ言われたろうけど、今はゲームなのねえ。(まあいまだにヘヴィメタは言われることもあるけど)
バッシングの対象って時代時代によって変わるだけで、バッシングをするという行為自体に変化はないということですかね。
しかしイギリスの社会は今だいぶおかしいことになってるんでしょうねきっと。