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あの感動をもう一度!「あの花」企画・脚本の岡田麿里さんが小説化した小説版「あの花」の単行本(上)が、2011年7月25日に発売決定です!詳細は続きからどうぞ!

(つづき)
放映前、雑誌「ダ・ヴィンチ」3月号から連載開始した「あの花」小説版。公式サイトでも序盤を試し読みできて、その過激とも思える表現も含めて、アニメ放映前から話題となっていました。
その一部はこちら。

 『じんたん』
 夏の終わりのだらつく暑さ、だらだら伸びた前髪が瞼のあたりを刺激する。二日風呂に入っていない、汗とあぶらの染みた毛先にねとっとした感触を感じるから、小さく苛立って輪ゴムでとめる。
自らの精神世界にダイヴし、巣食う七つの大罪、そして八つめの未知の欲望と戦う……なんて中二の寝言じみたテレビゲームに、俺はすでに百五十六時間を費やしていた。
 女性器をわかりやすくデフォルメした《色欲》は、くぱぁくぱぁと開いたり閉じたりを繰り返す。そいつらを片っ端からさくさくと殺し、ついでにさくさくと時間を──高校一年の夏を、浪費していく。
 くぱぁくぱぁに蝉が鳴く、暑い。
 なんて露骨なデザインだ。モニターにどどめ色のくぱぁ。中心から奇妙な汁をはきだすくぱぁ。風呂に入っていない自分を棚にあげ、きたねぇな、と思う。見苦しい存在は、片っ端からマシンガンで撃ちまくって──。
「じんたん、これってルージュラ?」
「ルージュラじゃねぇよ」
「でも、唇ぶっといよ? なんか、ルージュラの《はとこ》っぽいけど?」
──じんたん。
 その甘ったるい声は、俺が自家生産した汗あぶらよりもずっと強力に、べったりと皮膚にはりついてくる。
「はとこって、どういうことか知ってるじんたん。あのね、おじいちゃんのいもうとのね、こどものこどものね、だからめんまにしたらキーくんなんだけどね!」
「…………」
──たぶん、俺は、腹が減ってる。
暇やら空腹やらの隙間があるのは、非常によろしくない。余計な感情が、その空白にむりくり入りこんでくるから。こんな時は……。
「……塩ラーメンだな」
「わあっ。塩ラーメン、めんまも食べるぅ!」

そして、いよいよ7月25日に上巻が発売されることが公式ページで告知されました!発刊はメディアファクトリー(MF文庫ダ・ヴィンチ)で、価格は520円(税込)。
企画・脚本を担当した岡田麿里さん自身の小説化だけに、内容は間違いないモノでしょう。さらに、アニメ化されている部分を補完するような内容があることも期待してしまいます!
暑い夏は、これを読みながら更にアツく過ごしましょう!


[公式サイト] 2011.07.04 小説版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(上)発売決定!

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