2011年6月6日、久しぶりに公衆の前に登場したアップルCEO、スティーブ・ジョブズ氏が発表したiCloud。この登場で、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。詳細は続きを読むから、どうぞ!
(つづき)
iPhoneやiPadは、基本的に持ち歩いて利用するものです。Webを見たり音楽や映画を楽しんだり、アプリを起動したり。そのアプリやデータをダウンロードするのも、基本的に単体で実行出来ます。
しかし、iPhoneやiPadを利用するにあたり、MacやWindowsなどのPCは不可欠でした。これらPCでアクティベーション(認証)したり、iPhone/iPadで撮影した写真などは、基本的にPCにインストールされたiTunesを介して管理されます。例えばiPhoneで写真をいっぱい撮ったとして、これをPCや他のiPhone/iPadで見るには、Web上でブログ等にアップする以外、基本的にPCに接続して行う必要がありました。
つまり、これまでのアップル製品は、「iTunes」というハブ(Hub、中心、中核の意味。世界中に繋がる中継空港をハブ空港なんて呼びますよね)を介し、PC/iPhone/iPadの相互の情報共有を行う仕組みでした。
iCloudでは、このiTunesの役割をクラウドに移行しようというものです。
ここでちょっとクラウドの説明を。「よく知っているよ」という方は、下のカコミ記事を飛ばして下さい。
例えばクラウドのデータ保存サービスを考えてみましょう。通常、PCでデータを保存するときは、PCに接続されたハードディスクやUSBメモリなどに保存します。このとき、データの保存先ははっきり分かります。
これが、クラウドのデータ保存サービスを利用した場合、インターネットの先にある「サービス」にデータを保存することになります。このとき、ユーザーはその保存先がどうなっているかは全く意識しませんし、見ることも出来ません。もしかしたら、保存先はメキシコやオーストラリアかも知れませんし、いつの間にか別な場所に移動しているかも知れません。しかし、ユーザーがデータを取り出そうと思ったときは、インターネットにさえ繋がっていれば、自分のPCのハードディスクから読むのと何ら変わらない感じでデータを取り出せます。
何となく、雲をつかむようなイメージかも知れませんが、だからこそ「クラウド」という名前はぴったりな気がしますね^^。
さて、話を戻しましょう。これまでiTunesというアプリケーション「ハブサービス」を経由してMacやWindowsPC本体の「ストレージ(ハードディスク)」に保存されたデータをiPhone/iPadと共有していました。iCloudはこの「ハブサービス」「ストレージ」をクラウド側に任せてしまいます。しかも、基本サービスは何と「無料」です!
iCloudを利用すれば、例えばiPhoneで写真を撮ったら、Photo Streamというサービスによりすぐに自分用のiPadやPCでもその写真が見られるようになります。これまではPCとケーブル接続が必要でしたが、「ハブサービス」と「ストレージ」がクラウドになったため、iPadやPCも同じクラウドからデータを取得するからです。
※Photo Streamは最新30日間までのデータを共有配信します。
概念を簡単な図にまとめてみました。iCloudは上記のように、ハブから先の部分をクラウドが受け持つことになります。なお、恐らく将来的には全ての情報をクラウドで共有することを目指しているとは思いますが、今回発表されたものは、次のような制約があります。
- クラウド上のストレージは5GBまで無料
- それ以上の容量については現在検討中(有償で拡張出来るようになるかも)
- iTunesストアで購入した音楽やアプリ等、また30日分のPhoto Streamは5GBの容量に含みません
- 音楽データはiTunesストアで購入したもののみクラウド共有可能
※ただし、年間25ドル支払うことで、CD等からリッピングしたデータと同じものがiTunesストアに存在すれば共有出来るサービスも提供
詳細は徐々に明らかになっていくと思いますが、iCloudの出現は、端末の高機能化・大容量化を過去の遺物に追いやり、ユーザーにとっての端末を「インターネットクラウドに接続するためのツール」に変化させる可能性を秘めています。いずれにせよiCloudは、アップルの戦略がPCハブ構想から完全なインターネットを使ったクラウド構想に切り替わるターニングポイントとなるサービスとなることは間違いなさそうです。