稲船さん率いるcomcept×INDEX×GREEでソーシャルアプリ今秋リリース/日本のゲーム業界の行く末について


カプコンを一流企業にのし上げた立役者として著名な稲船敬二氏。彼がカプコン退職後に立ち上げたcomcept(computerのcom + conceptのceptから来た造語?)がリリースするタイトル第一弾はソーシャルアプリ「Dr★モモの島(仮)」!ことある毎に世界と比較した日本のゲーム業界の遅れや業界再編の必要性について述べて来た稲船氏だけに、ファンや業界は様々な反応をしています。

何故稲船氏がソーシャルアプリをターゲットにしたのか、そして日本のゲーム業界に必要なこととは何か、私なりに掘り下げてみようと思います。詳細は続きからどうぞ!


(つづき)
さてさて、稲船さんのお話しの前に、私が思うことを少し書いてみようと思います。一応コラム枠をつけておくので、興味がない方は読み飛ばして下さい。

2010年の日本国内のゲーム業界は、前年比-15.6%と年々縮小の一途を辿っています。

私がゲーム業界に入った1980年代は正に黎明期であり、以後十年近くは世界中から日本製ゲームの素晴らしさが賞賛された時代が続きましたが、20世紀末以降日本発のイノベーションは顕著に減少し、代わって海外の高品位なゲームが台頭してきました。これは、ゲーム産業の肥大化に伴う大規模プロジェクト化に適応できなかったことや、ゲーム開発のコアな部分を一部技術者以外触れられない状態から脱却出来なかったことなど、様々な理由が挙げられています。

しかし、本当にそうした「技術的」「経営的」な問題だけで、日本のゲーム業界は没落してきたのでしょうか。IGDA(世界ゲーム開発者会議)やDiGRA(デジタルゲーム学会)の会合に参加して感じた「世界と日本の違い」について、少し書いてみます。


2005年、IGDA Japan(理事:新清士氏)が京都で開催した勉強会は、私にとっては大変衝撃的な内容でした。講演は、Steamで有名なValveのロビンウォーカー氏。『ユーザーコミュニティを巻き込んだ北米型ゲームの今~「カウンターストライク」はユーザーが生みだした』という名の講演は、京都のゲームセンターでゲームをプレイしながら「MOD」について語るというフランクな形で開催されましたが、その内容は日本人開発者にとって胸躍るものであると同時に、恐ろしさも感じさせるものでした。

「MOD」とは、いわゆる改造ゲーム。実はソーサリアンあたりで日本で生まれたこの考え方は、その後海外で大きなうねりを巻き起こし、日本と海外で大きな隔たりを作り上げました。例えばHALFLIFEで言えば、ゲームを買って起動すると、もともとメニューからレベルデザインツールなどのMODツールが起動できます。これにより、ユーザーは自由に自分が考えるステージや世界観などを組み込むことが出来て、しかも自分が作ったステージを配布し、誰かにプレイしてもらえます。そして、ダウンロード数でランキングが作成されるので、自分が作ったステージがみんなにどんな評価をされているかリアルタイムに感じることが出来るのです。

こうして未来のゲームデザイナーたちは更に腕を磨き上げて面白いMODを作っていくのです。つまり、ユーザーコミュニティをゲームプレイのみにとどまらず開発側にまで引き込むことで、以後ゲームの楽しさを生み出すレベルデザイナー・プランナーがどんどん生まれていく土壌が形成されていったのです。

一方、日本国内はゲームの改造は違法行為として厳しく取り締まられたため、面白いアイデアを持った「未来のゲーム開発者」たちもその腕を磨く土台がないことから、なかなか人材が育たない状況になっていきました。ロビン氏はこの点に警鐘を鳴らし、素晴らしいイノベーションを生み出し続けた日本は、もっとこの点を重視して人材育成やゲーム業界自体の拡大を狙うべきと語っていました。


また、その後IGDA協賛の中で東大で生まれた「DiGRA Japan(日本デジタルゲーム学会)」の会合で語られた事実は、日本と海外との差を決定的に感じさせるものでした。

会合では、アメリカの著名な大学がゲームを研究対象として取り上げ、研究者たちが「どうして面白く感じるのか」「どこに興奮するのか」「どういったUIが良いのか」といったことを真剣に研究しており、既にある程度「ゲーム学」というものが育ってきていることが語られました。

そして、その頃日本国内で話題になっていたのが「ゲーム脳」といった低レベルな話。この落差に、大変愕然としたものです。


こうしたことを振り返ると、日本のゲーム業界の没落は単なる運とかそういうレベルの問題でなく、利権構造だったり誤った教育といったものも影響しつつ、成るべくしてなった結果ではないかと思います。考えてみれば、日本国内では一部を除きオープンソースに対しさほど積極的でありませんでした。日本人のコミュニティとの関係に対する考え方が、欧米との格差を拡げる要因だったのかも知れません。

さて、話題を戻しましょう。稲船さんの独立後第一弾のタイトルがソーシャルアプリ、しかも日本で今主流となっているドラコレ系のモンスター合成系という発表を受け、私も少なからず驚きました。何故なら、日本国内のソーシャルアプリは、一般のゲーム同様海外との隔たりが大きいため、日本国内でヒットしているものに近いものを出す選択を稲船さんがしたことが、すぐには理解出来なかったからです。

2ちゃんねるでも、「Keiji Inafune(稲船敬二)処女作アイテム課金!!」というスレで、割と真面目に賛否両論が繰り広げられています。


確かにドラゴンコレクション(通称ドラコレ)は、昨年10月にコナミからリリースされて以降、GREEのランキング1位をずっとキープする大人気ソーシャルアプリです。


しかし、日本発祥のソーシャルアプリの海外での成功事例は乏しく(怪盗ロワイヤルは海外で惨敗)、また世界最大のソーシャルアプリ会社であるZyngaのファームビレッジが華々しい発表会を開いてリリースされたにも関わらず来月クローズするといった状況から見ても、相変わらず日本国内はソーシャルアプリにおいてもガラパゴス化されていることが分かります。

恐らく稲船さんは、こうした状況も踏まえた上で、「まずは日本国内で成功出来るタイトルを自身が作る」ということを実現した上で、海外を視野に入れた展開を目論んでいるに違いありません。

また、今後のコンシューマを含めた一般のゲームも、ソーシャルゲーム同様に「お手軽さ」「ソーシャル性」「バイラル」といったキーワードは必須と言われており、そうした意味でもこのジャンルでまずは国内制覇を狙うというのは重要な意味があると思います。

ただ、ソーシャルアプリは完成して放っておけば利益を生むものではありません。ユーザーの動向に日々注目し、開発期間中よりも運営期間に力を入れないと成功出来ないジャンルです。稲船さんのパワーが、こうした日々の運営に磨り減らされないことを祈るばかりです。

【Dr★モモの島(仮)】
プラットフォーム:GREE
配信予定:2011年秋
対応機種:Android搭載端末、iOS搭載端末(予定)
利用料金:基本プレイ無料(アイテム課金制)

[Yahoo!ニュース] 「僕自身、ソーシャルゲームに注目せざるを得ない」 グリー、インデックス、comcept共同記者会見で稲船氏がソーシャルゲームに参入表明

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